2011年02月16日

ラムの香り

Bonjour !

バレンタインに載せた写真はラムボールでした。

本当はオペラを作ろうと思っていたのですが、シンゴシェフに「何がいい?」と聞いたところ、即「去年と同じラムボール。」という答えが帰ってきたので、(オペラ私が食べたかったんだけどface06)ラムボールを作る事にしました。

材料はジェノワーズ(スポンジ生地)、チョコレート、アーモンドパウダー、ココア、ちょっと生クリーム、レーズン、そしてラム酒です。去年作ったみかんの皮のコンフィも入れてみました。

作り方はすごく簡単。
粉類とジェノワーズをざるごししたものを合わせて、生クリームと溶かしたチョコレートを加えて混ぜ、最後にラムレーズンを加えてまとめ、丸めてチョコレート→ココアをまぶすだけです。

直径5センチくらい。

ひとつでもけっこう食べ応えあります。

ショコラ含有量はけっこう低いけれど、「チョコ食べたー!」的な満足感は高いです。

シェフ曰く、
『玄人向けの、限りなくA級に近いB級グルメな味』(^_^;)(どうなんだ?それは)
だそうで、好きなようです。

このラムボールに使ったラム酒はマイヤーズ。
ラム酒風味、と聞いて想像する味が素直に出ます。


お店で販売したトリュフにはグァテマラ産のロン・サカパ、というラム酒を使いました。
これはもうちょっとノーブルな香り。
お店でもこのラム酒はお愉しみいただけます。

そして昨日、成城石井で買ってきたラム酒。
プエルトリコのキャプテン・モルガン、プライベートストック。

このキャプテン・モルガンのスパイスラムはパトリスさんのカフェで作っていたスコーンのラムレーズンにも使っていました。
やわらかく、バニラなどの甘い香りです。
今回のラムはまだ試していませんが...


ラム酒の香り、大好きです。

ラム、グランマニエ、ポワールウィリアムス、カルヴァドス...
お菓子作りに欠かせないこれらのお酒、飲むのもけっこう好きです。


強いから少しだけ、ですけどね。
  

Posted byレストランPEPINat 17:05 Comments(0) arome

2010年10月24日

サングリア⇒ヴァンショー

Bonjour !

風邪気味でのどが痛い...

元気に色々やりたいことがあるのに、身体がついてこないのはつらいです。

空もどんより、うすら寒いこんな日には、何かあったまるものが飲みたくなります。


甘酒とか、ヴァンショー(ホットワイン)とか。

ペパンでは、自家製のおすすめアペリティフとして、サングリアをご用意しております。

タイ製の石でできたすり鉢に、シナモンスティック、アニスなどの5~6種のスパイスとドライオレンジピールを入れてつぶし、フレッシュオレンジとレモン、三温糖、ナツメグを合わせたところに赤ワインを注ぎ、少し強いお酒を足してしばらく置き、香りが十分に移りこんだところで漉す。

程よいスパイシーさが好きで、夏には氷を入れて飲むととても気分が良くなります。

冬でも、このアペリティフをご注文されるお客様がけっこういらっしゃるので、通年ご用意させていただいております。

冬、ちょっと風邪気味のときには、これをとくとくと鍋にあけて、ボッと火をつけて、鍋のふちからワーッと沸いてくるまであたためる。
あたためたカップに注ぎ入れると、スパイシーなヴァンショーのできあがりです。


これを、今飲みたい。

しかし、手元に無い。

作る気力も無い。

誰か作ってくれないかしら...。

しょうがないので、小鍋に赤ワイン200cc、自家製みかんのピールの蜜大さじ1杯、カルダモン1個、シナモンパウダーパッパッ、しょうが1スライスとりんごジュースをターっと加えてシャーっと沸かして、飲む。

あったかい...face17



...ゆうべ、夢でジョン・ボンジョヴィが浅田飴を届けてくれる夢を見ました。

今日も早く寝よう。
  

Posted byレストランPEPINat 15:17 Comments(0) arome

2010年10月09日

香りの引き出し

Bonjour !

今日はしとしと雨が降っています。今日はジョン・レノンの誕生日。シンゴシェフも同じ天秤座です。
グールドのイギリス組曲が心地よく響きます。

さて、今日は香りの話。

昨日作った自家製オランジェット、これには丸子産の小みかんの果肉のコンポートを作る際に剥いた皮を使って作ったコンフィを使っています。
皮はよく洗ったものを何度かゆでこぼし、それを栗の渋皮煮や甘露煮同様、毎日少しずつ糖度をあげながら煮て中までじっくり糖分を含ませながらかつ軟らかく仕上げます。
上手く仕上がると透き通った綺麗なオレンジ色になります。

だいたい果物の加工には三温糖を使うのですが、この仕上がったコンフィのシロップを味見してみると、エッセンシャルオイルのネロリのような香りもするし、シナモンの樹皮のようなスパイシーな香りもあります。
みかんの果肉のコンポートの方は、ジューシーな柑橘系のみずみずしい香りがするのに対して、このコンフィのシロップは、精油成分が移し出された感じ。
先日触れた同じく丸子産のみかんの花の蜂蜜はやはり花由来なのでオレンジフラワーウォーターの香り。
同じ植物の部位によって、醸し出される香りがこんなに違うとは、驚きです。

おとといシンゴシェフに、
「オランジェット、食べる?」
と聞いたとき、彼はコーラを飲んでいた。

コーラとチョコレートは、絶対避けなければならない組み合わせですicon52
チョコレートを食べて、もぐもぐした後コーラを口に含むと...カビの匂いになりますface03

ついでに言うと、バナナと珈琲も相性が良くない。タバコの吸殻みたいな匂いface03
ガトーとして、バナナもソテーや甘味をつけるなどの加工がしてあって、珈琲も濃く甘いシロップやソースがベースのムース(韻が良い♪)になっていれば問題はないのですが。

本来なら、オランジェットには同じ柑橘系のベルガモットの香りがついた紅茶のアールグレイか、珈琲は、個人的な好みでブラジルの深めの煎りのものを合わせたい。エスプレッソもいいですね。
もちろん静岡のみかんの皮のコンフィなので、やや濃いめの緑茶や抹茶でも良いかも。

そんなことにはおかまいなく、アナナは飲み物なしでオランジェットだけぱくぱく食べる。
あとでちゃんと歯磨けよ~!

アールグレイ、と言えば、以前自由が丘の紅茶専門店〈セントクリストファーガーデン〉で働いていたとき、そこでわりと自由に飲ませてもらった紅茶の数々、こんなに美味しい紅茶ってあるのかと思っていました。
もともとフレーバーティーより茶葉そのままの紅茶が好きなのですが、ダージリンの麗しい茶葉から抽出されるマスカットを思わせる高貴な香り、キーマン(キームン)の上品なスモークの香り、ディンブラ、アッサム、ヌワラエリア(はあったかな)...みんな違ってみんないい、のです。
そこのアールグレイはわりととがった香りで好きだった。たまにカウンテスグレイも飲みたくなります。

セントクリストファーのブティックでは、エルダーフラワー・コーディアルというものを売っていて、消費期限が迫ったものを安く分けていただいたことが何度かあるのですが、これは、忘れられない味です。
愛読書のLesley Bremness著『完璧版 ハーブの写真図鑑HERBS』(日本ヴォーグ社)によると、エルダー(セイヨウニワトコ)は、“田舎の薬棚”とよばれているほど健康に役立つ用途が色々あるようで、漢方でも様々な使われ方をされているようです。

コーディアルは、カルピスのように水などで割って飲んだりするのですが、程よい酸味とアンズのような、何て言うんだろう、麝香っぽい香りもして、こういうものにこそ健康にも良いノンアルコールドリンクとしての未来がありそうな感じがします。
マカディア...に近いかな?マカディアも意外と好き。最近近所では見かけませんが。


今うちのお店でお出ししている紅茶は、たまたまお店に食べにきていただいたことがきっかけでお付き合いさせていただいている奈良のオーガニック茶園の方の紅茶です。
この月ヶ瀬健康茶園さんの夏摘みムーンロックは、私が大好きなキーマン系のニュアンスを含んでいて、アイスにしても美しい水色(すいしょく)が出て、喉越しが素晴らしい。
これからはホットが美味しい季節です。

作っている方がおおらかで優しいので、そういうのがやはり味にも出ているらしく、丸みと深みのあるいい味です。
電話でシンゴシェフが注文したとき、慢性鼻炎の症状が出ていると聞いて、アレルギーに良いお茶を同封してくれたり、そういう面倒見の良さがお茶を育てる際の気配りにもつながっているのでしょう。
いつも、おいしいお茶をありがとうございます♪


ソムリエを目指す人が使う教材に、nez de vinという小さいガラスの瓶に色んな香りが詰まったキットがありますが、これはけっこう高い。
フランスの調理学校に行っていたときにそういう養成施設に見学に行って、同様のものを嗅いだ記憶があるけれど、そういうキットだけでそのものの香りを理解するのは難しいだろうな、と思います。

例えば、春に咲く沈丁花や、今も開花の旬まっさかりの金木犀、あのぐらい毎日強烈にキンモクセイ、キンモクセイ、という香りを嗅いでいたら金木犀の香りはこんな感じだな、と頭の中で思い出すこともできそうですが...。


フランスの学校の来校講師の一人として、MOFのソムリエが来たことがあり、あるワインを口に含んでしばらくしたら、

「これは、僕の奥さんの足の爪の香りがします。」

と言い切った。
他にも色々言っていたような気もするけれど全く記憶に無い。その感想が強烈すぎて。

彼の夫婦の関係を垣間見たような(勝手にこちらが)恥ずかしい気持ちと同時に、意外と表現方法は自由なんだと思いました。
(フロマージュ(チーズ)の香りの表現でそんなこと言われたら絶対に立ち直れないと思いますが...。)

日本人には日本人なりの、フランス人にはフランス人なりの、それぞれの国の人なりに、またその中の地域なりに、香りの引き出しの中身って違ってくると思います。












開国したばかりの時に外国の人が日本に来て思ったのが、日本の群集はゼラニウムの匂いだっていうのも驚きです。
それが洗っていない衣類の匂いなのか、織物の匂いなのか、土の香りなのか、髪の毛の匂いなのか、つっこんで聞いてみたい気はするけれど。

自分で飲んだコルシカのワインがどうしても梅干しの香りに感じることもある。

ワカメ、海苔、山椒、柚子、紫蘇、鰹節、苔...ワインの中に感じることがあります。
ヒソップ、とかスイカズラ、とか言うより絶対引き出しの手前に入っている香りの記憶。
同じ柑橘系でも、お茶でも、外国の果物や茶葉の香りと日本の緑茶やみかんとではものすごい違いがあるし。

 

こういう色んなものが香り立つ季節には、自分の香りの引き出しに色んな新しい香りを加える良いチャンス。

お客様も、うちのお店でワインを飲んだときに何かの香りを感じたら、是非教えていただきたい。



そういうものを共有するのって、...なんだかとっても親密な感じがします。

  

Posted byレストランPEPINat 10:33 Comments(2) arome

2010年10月03日

HONEY HONEY, YEAH!

Bonjour !

今日は、雨かと思っていたのに朝から気持ちの良いお天気です。

窓を開けて、入って来る涼やかな風を感じる。今日はあんまり金木犀が香らない。
金木犀って、遠くからほんのり香るくらいがいいと思います。春の開花時期もそうですが、この香りがしているとなんだか目がかゆかったり、鼻炎っぽくなってしまう気がする。
金木犀の花粉症って、あるのかな?

今日シンゴシェフがかけたのはベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第13番変ホ長調 作品27-1が入っているCDで、これはうちの父が大好きな曲です。
歩いて会社に行っていた時によく口ずさんでいたらしい。(今は電車通勤ですが。)
今日のは冒頭部分がゆっくりめのテンポなので、バックハウスではなくてグレン・グールドだな。
この曲はどちらかというとバックハウスの方が好き。
モーツァルトのトルコ行進曲は断然グールド!ですが。


さて、今日は朝食に昨日の栗ごはんを食べたあと、アナナが

「ヨーグルトも食べるー。」

と言うので、みんなで食べることにしました。

深皿を3つ出して、プレーンヨーグルトを3つに分ける。
昨日母にもらった無花果を切って入れ、丸子産のみかんの花のはちみつをかける。

シンプルだけど、最高に美味しいワンスプーンです。
そういえば、前に〈ワンスプーン〉っていう料理番組があったなあ、あれは女性のゲストが大きいスプーンの上の料理を一口で食べる時にいつも食べにくそうなのが気になった。でも、女優さんはさすがに食べるのも上手いですよね。
〈ランチの女王〉の竹内結子さんとか、うらやましくなる位美味しそうに食べてましたよね、皆が惹かれる役どころをうまく演じていた。
私がいま食べたい料理のワンスプーンは...何だろうなぁ、素材が良いカプレーゼかな、今日の気分的に。
昨日だったら〈板わさ〉、とか。


...話は戻りますが、はちみつ、大好き。

懐かしい香りのアカシヤはちみつも、レンゲはちみつもいいですが、やはり一番好きなのは、ラベンダー。
南仏のマルシェにいくと、手書きのラベルが貼られたシンプルな瓶で、近所の農家製の白く濁った色のはちみつが売られています。
スーパーで売っているラベンダーはちみつも蜂の巣模様の瓶のやつとか、好きだったなぁ。
パリのフォションでは色々なはちみつが売っていて、15年前に行ってカルチャーショックを受けました。
小さい瓶!でも高い!(希少性があるから当たり前なんだけど)こんなに色々あるの!って。
悩んだあげく、お店の人が近寄ってくる前に〈pignon de pin〉=松の実っていうのを買って食べたら、けっこうクセもあるけれど、豊かなアロマにやられちゃいました。...でも、松の実、ってどうやって蜂が蜜集めするんだ?...謎のままです。

栗の木のはちみつもいいですね。

外国産はそれぞれイメージがあるけれど、国産の、しかも静岡産のはちみつがあんなに美味しいとは知りませんでした。

丸子のみかんの花のはちみつ、みかんの花の香り⇒eau de fleur d'oranger、デリケートなオレンジ水の香りがします。
アーモンドクリームを詰めて焼いたパイに塗って、食べるときにシナモンを少しふれば、アラビアンナイトのカリーファのデザートのような香りがするかも。

オリーブオイルとこのはちみつをボウルに少し入れて、バゲットを切ってボウルの中でよくまぶし、170℃くらいのオーブンで軽く焼けば、プロヴァンスの香りのラスクになります。

アニスとシナモンなどのスパイスを利かせたパンデピスもいいなぁ。

ロックフォール・パピヨンに合わせても、タジンに加えても。

トーストを作るときに、バターを塗って、はちみつ塗って、ラムレーズンを散らして焼くのは、...mmmmm、最高!


はちみつ屋さんがもっと近所にあったら、通っちゃうかも知れない!くらい好きです。


honey honey, yeah~♪
Marvin Gaye ♪I heard it through the grapevine♪


  

Posted byレストランPEPINat 11:55 Comments(2) arome

2010年09月24日

肌寒い朝  熱いコーヒーと音楽

Bonjour !

おとといあたりの暑さと、今日の寒さのこの急激な変化には驚きです。

本当ならば、吹く風に少しずつ秋の気配を感じて、ペパンでも

「そろそろ窓をオープンにして机を外に出そうか~」

なんていう時期であるはずなのに、今日のこの感じだとそれを通り越してブランケットに屋外ストーブまで用意しなくちゃいけない感じです。(プロパンガス無いけど)

明け方寒かったせいで、アナナが5回脱皮するというへんな夢を見ました。



いつもの朝は、ちょっと早起きのシンゴシェフが音楽をかけるところから始まる。
(今日は、バックハウスのベートーベン ピアノソナタ全集のCD3、No.9~No.12。)
澄んだ高音が心地よく響きます。

食事とコーヒーの味が混ざるのはあまり好きではないので、ハムチーズトーストには熱いグリーンティー。
体調が完全復活したシンゴシェフは同じメニューに冷たい麦茶。
アナナはパンが嫌で白いごはんに頂き物の韓国海苔、お味噌汁と南瓜の煮物、氷を入れて少し冷ましたグリーンティー。

ごはんの後に仕切りなおしてコーヒーを淹れる。
やや深入りのモカブレンドです。


空気が涼しいと、やっぱりコーヒーが美味しい。完璧です。


珈琲は、飲む環境によって味の感じ方が全然違う気がします。

まず、「玄」で飲む珈琲、ここは入った瞬間から珈琲の香りしかしない。やわらかく響くクラシック音楽と、素敵なカップで供される珈琲の一口目。

昔よく行った国立の珈琲屋、雨の寒い日に大ぶりのアンティークのカフェオレカップで飲むミルクコーヒー。スピーカーから流れるエディット ピアフ。(padam...padam~♪)

横浜で働いていた時は、お昼休憩が夜7時、なんてことも。暗くなりはじめた空の下、スターバックスのコーヒー、グランデであたたまる。どこかのお店の女の子の声。

パリのドゥマゴ。パリのドゥマゴはどんな季節のどんな時間に行ってもパリのドゥマゴです。

いくらでも、珈琲をまえにした風景が思い浮かべられます。

コーヒーを飲むのが好きなのは、その時間を好きに楽しむのが好きだからです。


ぼーっとしながら、音楽を聴きながら、珈琲。
これからしばらく、珈琲がおいしい季節を楽しめます♪









昨日横浜からいらした珈琲好きなお客様に、感謝の気持ちを込めて。
〈ありあけハーバー〉ありがとうございました!美味しかったですface02うちのシェフがコマーシャルソング歌ってましたよ♪  

Posted byレストランPEPINat 13:00 Comments(2) arome

2010年09月16日

アラビアン・ナイトの香り

Bonjour!

今月から、着物の着付け教室に通いはじめました。

母が結婚した頃は、誰でも箪笥を着物でいっぱいにして嫁に行ったものだと聞き、ビックリ!

30~40年でずいぶん着物文化には変化があったものだと思いました。

私も去年娘の七五三のときに着物を着るまで、自分の七五三と成人式にしか着たことがありませんでした。

祖母や母が何かにつけて

「着物着るんだったらいい帯がたくさんあるわよface02

と言ってくれていたので、夏のはじめにとりあえず浴衣の着付け教室にいってみたら、これがけっこう楽しい。浴衣でも、自分で着るとちょうどいい締め具合にできたり、好きな帯の締め方で変化を楽しんだり..

祖母が

「藍染の着物っていうのは身体にもいいのよ」

と教えてくれたり、聞いてみると、色々な着物についての知識、センス、こだわり話が出てくる、出てくる(黄八丈でみかん食べちゃいけない、とか)。
今回私が着付け教室に行くといったら、暑い夏のさなかに箪笥から色々ひっぱりだして素敵な着物や帯、反物、帯締めなど見せてくれました。

今回は母の小紋の丈をのばしてもらって参加することにしました。もともとは戦後反物が手に入りにくい次代に祖母が曾祖母にたのんで買った白い反物を、紅型様の染めに出して祖母が縫ったものです。
帯締めは祖母の妹、つまり母の叔母がつくったもの。
見せてもらった着物には、曾祖母が織った反物からつくられた着物なんていうのもあり、昔の人のたしなみや普通に身についていた手技のレベルの高さにはただただ尊敬してしまいます。

むかし、「つるの恩返し」を読んだとき、機織りをするということ自体に感心していたけれど、実はポイントとしては、部屋にひとりで籠もりきりになって一晩で素晴らしい反物を織り上げることとか、つるが自らの羽を織り込んで機織りをしているというところにミステリアスな面があるんじゃないかと思うようになってきました。機織り機自体はおじいさん、おばあさんの家にあったわけですから...。
昔の人はそういうことが生活の一部だったんだな、と思うと現代の暮らしは本当に忙しい。自分の着るものを布から織り上げるなんて、なかなかできることじゃなさそうです。

新しい着物を買わなくても、母や祖母の着物を少しずつ直したりしていくほうが自分にとっては楽しめそう。ストーリーがあるものを身につける喜びがあります。小物もそれにあわせたものが一通り、二通りいやもっと揃っているし、メンテナンスをきちっとするのも勉強です。
着物の小物や帯を合わせるセンスについては、少しずつ勉強していくしかなさそうですが。


さて、お教室用の一揃いをこれまた祖母から譲り受けた箪笥に仕舞う段になって、防虫剤を入れなければ、と思い買ってきたのが『樟脳』(しょうのう)です。ウィキペディアで検索したら、クスノキなんですね、原料!カンファーだ!!

封をきると、すうっとした爽やかな香り。防虫剤~っていう匂いではなく、ゆかしい森林の香りです。

ほんとの樟脳は、しまっていた着物を着る前に少し干すだけでいいそうですし、この香り自体嫌ではありません。

アラビアン・ナイトのシンドバード(シンドバッド)の回や、そのほかの話にもよく登場する樟脳、大体は教皇(カリーファ)への献上品としてだったり、市場で高値で取り引きされる品として出てくるのですが、
「南京豆ほどの粒の樟脳...」なんて書かれていたりします。それだけ結晶体としての純度の高さが質を決めるものなんでしょうね...。

アラビアの、古の高貴な人々が珍重していた香り。
その時代にシルクロードを渡ってあちらからこちらへ、またはこちらからあちらへ渡ったものが、日本の着物文化に結びついている。

そんなことに感動してしまう今日この頃です。







  

Posted byレストランPEPINat 15:55 Comments(2) arome